衣料品の環境負荷を最も大きく左右するのは衣服の着用回数であることが、生地繊維の誕生から廃棄までを調査した世界初のライフサイクル・アセスメント(LCA)研究(査読済み)によって明らかになりました。
衣服の寿命が重要である理由
衣服の目的は着用することですが、その寿命を通して着用回数が多ければ多いほど、その目的を完全に果たすことができます。世界初のこの研究では、衣服の生涯を通じた影響を着用1回あたりで計算しました。その結果、紡毛衣料の環境負荷に最も影響力のある要素は、衣服の寿命の長さであることが明らかになりました。
着用回数の平均は109回と推定されました。しかし、もしワンシーズン限り、つまり15回着用して衣服を廃棄した場合、環境負荷と資源利用は5.8~6.8倍に増加します。
着用回数の合計を400回まで増やすと、環境負荷は49~68%減少します。これは、衣服の寿命を延ばせば大幅な改善が可能となります。
ウールが長持ちする4つの理由
上質な服を長く愛用することで、買い替えの頻度を減らすことができ、代わりとなる服の製造にかかる新たな資源利用を減らすことができます。
- ウールには、汚れを防ぎ、においやしわを抑える特徴が備わっており、洗濯の回数が少なくて済みます。これにより、時間と費用(電気代や水道代)が節約できるだけでなく、新品のような見た目や手触りが保たれるため、消費者はその衣服を長く着用できるということにもなります。
- ウールが世界のテキスタイル市場に占める割合はわずか1.3%です。しかし研究では、ウールの二次流通の割合は約5%と高く、ウールの衣服は元の持ち主の手元を離れた後も、長く使われます。
- ワードローブに関する世界規模の調査によると、ウール製品の平均寿命はコットンの衣服よりも50%以上長く、LCAの研究で示された、使用段階を考慮することの重要性を裏付ける結果でした。
- ウールは天然で再生可能な繊維であり、洗濯の頻度が少なくて済み、リサイクルされることも多いため、使用段階の期間がさらに長くなります。さらに、ウール繊維は土壌と海洋環境の両方において100%生分解可能で、マイクロプラスチック汚染を引き起こしません。